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MMAについて語ろう② ファイトスタイル

MMAは、打・投・極の全てが許されるため、他の格闘技に比べ様々な攻撃に備えなければならない。

そのため構えやファイトスタイルなどが無数に存在している。

 

 

 

個々人のバックボーンによって構えやファイトスタイルは大きく変わる。

例えばレスリング出身の選手はタックルに入りやすい様に足を広げた構えであったり、ムエタイが得意な選手はスタンスを狭くしてキックを撃ちやすい様に構えたり、様々である。

 

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(ボクシングとレスリングを駆使して戦うフランク・エドガー。写真左側。足の幅が広い事が分かる。)


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(ムエタイブラジリアン柔術を駆使して戦うジョゼ・アルド。写真左側。足の幅が狭い事が分かる。)

 

MMAでは、色んな格闘技から選手が集まってくるため選手の数だけファイトスタイルがある。

全てを分類するのは不可能なので、大まかに2つに分けて解説しようと思う。

 

① ボクシング&レスリングスタイル

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MMAにおける王道スタイル。

半ば殺し合いじみた何でもありの試合から、総合格闘技というスポーツに移り変わり始めた頃から存在している、言ってしまえば総合格闘技の黎明期から存在している由緒正しいスタイルだ。

 

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(ボクシングで主導権を握り)

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(タックルに入る)

 

ボクシングで距離と主導権を握り、パンチに相手の意識を集めて足元の意識が薄れたタイミングでタックルに入り試合を支配する。

相手を寝かしてしまえば、後は高いフィジカルで相手を押さえ込み、上から殴り続ける。

いわゆる、グラウンド&パウンドと呼ばれる戦い方である。

 

想像して欲しい。レスリングの五輪メダリストがタックルに来る事を。生半可な技術ではタックルを防げないだろう。

そして寝かされてしまえばそのまま抑え込まれて殴られて負けてしまう。

だからタックルをされないように打撃で戦いたい。しかし、その打撃でも侮れないパンチを打って来られたらどうだろう?

タックルも警戒しなければならないし、かといって打撃でもペースを握れない。

 

タックルをされないように戦おうとすると、どうしても打撃が腰の入らない圧力のない打撃になってしまう。

そうすると相手は打撃を怖がらなくていいので、ガンガン前に出て近づいてくる。

接近戦になると組みつかれやすいので距離を取りたいが、かと言って距離を取って手を出さないと判定で不利になる。

単純ながらこの組み合わせは対処することが難しいのだ。

 

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(ボクシングで主導権を握っているため、相手はタックルへの反応が鈍くなり、テイクダウンが決まる。)

 

タックルのディフェンスをしようとすれば、両手を下げる必要がある。

しかし、両手を下げると顔面がガラ空きになるのでパンチを貰いやすくなる。

パンチを貰ってしまうと、顔面のディフェンスに意識がいくので両手を上げた構えになる。両手が上がるとタックルに対処するのが遅れるのでそのままテイクダウンされてしまう。

 

レスリングが強い、ということはこのタックルの圧力がかかってタックルのフェイントがより一層効果が出るのだ。

組技が強いと言うことはそれだけで圧力になり、相手からすると対処しなければならないので、不自由な選択を押し付ける事ができる。

 

また、ボクシングもレスリングも足を広げた構えを取るので馴染みやすく、蹴りを覚えるより手を使うパンチの方が馴染みやすい事もあり、ボクシングとレスリングを組み合わせるファイトスタイルの選手は非常に多い。

MMAにおける一大勢力といっていいだろう。

 

アメリカやカナダといった北米はレスリングやボクシング出身者が多いため、主に北米の選手がこのスタイルに行き着く事が多い。

 

ムエタイ&ブラジリアン柔術スタイル

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先程のボクシング&レスリングスタイルが北米なら、このムエタイ&ブラジリアン柔術スタイルは南米出身の選手が多い。

 

先程のスタイルがボクシングで打撃の主導権を握ろうとするのに対し、こちらはムエタイで主導権を握る。

このムエタイの部分は空手だったり、キックボクシングだったりもする。

 

ブラジリアン柔術は、日本発祥の柔術という組技や関節技や投げ技を主体とした格闘技がブラジルに渡り、寝技を主体として発展した格闘技である。

ムエタイはタイ発祥の打撃系格闘技だが、首相撲といって、相手の首を掴んだまま投げたり膝や肘を打ち込んだりする技術もあるので、打撃系と組技系を組み合わせたような格闘技である。

 

ムエタイを打撃の主体としているため、足の幅はやや狭めで蹴りを有効に使って試合を進めていく。

強烈なローキックで相手の足を壊し、ミドルキックで相手のスタミナを奪い、遠い距離ではハイキック、近い距離では肘打ちや膝蹴りで、遠・中・近どの距離でも必殺の打撃があるため、単純な殴り合いでペースを握るのは難しい。

 

組みつかれるとムエタイ首相撲で打撃を入れながら対処し、もしテイクダウンされてもブラジリアン柔術の寝技技術で関節技を極めにいく。

下になってもブラジリアン柔術の技術があれば、下から一本勝ちを狙う事もできるし、関節技を防がれたらその隙をついて立ち上がる事もできる。

 

スタンドでは、パンチとキックで戦い、相手がパンチ勝負をしたいならキックで、組技をやりにきたら首相撲と肘や膝で対処し、万が一寝かされても関節技で勝ちいく。

 

ボクシング&レスリングスタイルが、レスリングを活かすためにボクシングを使い、レスリングを餌にパンチを入れるスタイルに対し、ムエタイ&ブラジリアン柔術はあくまで打撃で勝つ事を考えて、組み付かれても強烈な首相撲からの膝蹴りや肘打ちで倒しに行き、寝かされても関節技で一本勝ちを狙えるという、攻撃的なスタイルと言える。

 

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(打撃をしやすい構えで戦い)
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(タックルに入られても)
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(ブラジリアン柔術の技術で、あえて隙を作りそこに相手がチャンスと思って攻めてきたその隙をついて絞技を入れる。)
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打撃で主導権を握れないと、いくらレスリングの猛者といえどタックルからテイクダウンをするのが難しい。

そのため、パンチと蹴りで打撃の主導権を握らせず、組技になっても首相撲や打撃を使って簡単にはタックルに入らせない。

強引にテイクダウンすると体勢が不十分なテイクダウンであれば隙をついて関節技を使うことで、相手に関節技のディフェンスを強要させ、立ち上がる為の隙を作っていく事ができる。

関節技のスキルがあまりないボクシング&レスリングスタイルを餌食にしている。

 

要は打撃で勝つ事を第一にし、寝かされたら寝かされたで、関節技で勝てばいいと言うスタイルなのだ。

 

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(蹴りやパンチを使って主導権を握り)
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(打撃で主導権を握っているため、タックルが不十分な形になっている)
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(不十分なタックルなら防ぐ事は容易く、隙があれば写真のように関節技や絞技で勝利を狙える。)


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これなら相手のタックルを警戒する必要がないので打撃だけに集中でき、試合の主導権を握りやすくなる。

 

しかし、寝技で負けてしまうと戦略そのものが破綻するので、しっかりした寝技の技術が必要である。

 

 

この2つがMMAにおける大まかな分類である。

どちらの方が強いと言うことはなく、自分のバックボーンにあった戦略を選んでいるだけだ。

もし、総合格闘技を見る機会があれば、そういうスタイルを意識して見ると、両選手の狙いが分かってくると思う。