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MMAが強い選手

 

先日、堀口vsミックスが行われて日本のエース、堀口が判定負けした。

 

点数上、僅差ではあるものの内容は完敗と言っていい内容だった。極められはしなかったものの凌ぐだけで精一杯で、いくつかのラウンドを取っているものの3つのラウンドは取られ、しかも内容が完璧にコントロールされていたとなるとこの結果もさもありなん。

 

一昨年から筆者はATTの選手は勝てなくなると言っているが、それを今回も見たと言える。

なぜ、ATTでは勝てないのか?勝ちにくくなっているのか?勝つ選手とはどういうものなのか、筆者の主観を綴りたいと思う。

 

① 強い選手の特徴

強い選手の特徴として全てできることがまず挙げられる。打撃だけで寝技がからっきしという選手はまずいない。コナー・マクレガーイスラエル・アデサニヤでさえブラジリアン柔術紫帯だし、マクレガーは世界大会にも出場経験があったりして最低限できる。アデサニヤもアトスという世界トップの柔術道場で鍛えているのでこれからみるみる上達していくだろう。

つまり、強い選手は弱点が少ない、または弱点はあるもののそれをリカバリーする技術を持っているということだ。

ミドル級史上最強のMMAファイター、アンデウソン・シウバも神がかり的な打撃技術に目が行きがちだが、オリンピックレスラーのダン・ヘンダーソンレスリング世界選手権銀メダルのチェール・ソネンに一本勝ちしているし、寝技世界最強のデミアン・マイアにも競り勝っている。寝技が弱点、寝かしてしまえば何もできないと言われていたアンデウソンですら客観的に見ると寝技が強い。

現在のMMAはトータルファイター化が進んでおり、その中でも更に強い選手は穴のない丸い選手と言える。

例を挙げるなら、GSP、堀口恭二、ダスティン・ポワリエ、トニー・ファーガソン、ハファエル・ドス・アンジョス

 

② 必殺がある

強い選手は必殺を持ち合わせている。先ほどの話で言うと、アンデウソンやマクレガー、アデサニヤはスタンドでの打撃技術は圧倒的であり、立った状態では世界中の誰を相手にしても有利に戦えるだろう。

デミアン・マイアやハビブ・ヌルマゴメドフ、チャールズ・オリヴェイラといった選手は寝技が圧倒的に強い。寝てしまえば誰でも勝てる、それほどの技術を持っている。

 

このように強いと言われる選手は何某か必殺の武器を持っているのだ。

例を挙げるなら、アンデウソン・シウバジョゼ・アルドイスラエル・アデサニヤ、コナー・マクレガー、ハビブ・ヌルマゴメドフ、デミアン・マイア、チャールズオリヴェイラ

 

③ 直近の強い選手

最近のMMAを見ていると強い選手に一つの共通点が見えて来る。それは「丸い選手より、やや尖った選手が強い」、ということだ。

丸い選手は、打撃が強い選手には寝技をしかけ、寝技が強い選手には打撃で戦う。誰を相手にしても戦える対応力と総合力の高さが最大の強みである。

しかし、これには根本的な弱点が存在している。それは対処する側に回っているということだ。自分の勝ちパターンよりも相手の強みを消すことを優先する結果、型にハマらない場合は判定負けをするし、相手に俺の強い場面になるとこいつ何もできねえじゃん、もっと俺の勝ちパターンを押し付けるか、と相手のプランに押しつぶされてしまう。

これによって負けてしまったのが、先日の堀口や、一昨年のファーガソン、昨年末のポワリエだ。

 

打撃100

組技100

寝技100

身体能力100(スピード、反射神経、運動神経)

フィジカル100(スタミナ、パワー、体幹)

の綺麗な五角形よりも

(GSP、堀口、ポワリエ)

打撃70

組技100

寝技150

身体能力70

フィジカル100

の若干歪な五角形や

(オリヴェイラ、ヌルマゴ)

打撃150

組技70

寝技70

身体能力130

フィジカル70

のやや尖った五角形

(アデサニヤ、アルド)

の選手の方が強い傾向にある。

 

寝技になった時にオリヴェイラの寝技に付き合わなかったポワリエはそこから組技から寝技で戦うプランに切り替えたオリヴェイラに組み掴まれ、攻められ、消耗し、タップアウトした。

寝技師ミックスに絶対に取らせちゃいけないバックを取られた堀口は凌ぐ事に全神経を集中した結果、消耗すると共にミックスにこいつは簡単にバックを取れると思われ簡単に圧力と組み掴まれる隙を与えてしまった。

前に出るとすぐ組みにいくヴェットーリは、打撃なら俺に敵わないと言っているようなものだとアデサニヤに判断され、的確にフェイントと圧力を入れられてコントロールされたヴェットーリ。

いずれも何でも出来るが故に、相手の弱い所以外では勝つ方法がない選手が軒並み尖った選手に負けている

これがATTの選手が勝てなくなるという話の根本だ。短所を無くして綿密な作戦で相手を嵌めて勝つというのは物凄い高いクオリティの総合力があればこそだが、逆を言うとディフェンスを意識していれば必殺がないし、弱い所を着いてくると相手にバレてしまう欠点がある。

 

相手からすると

必殺パターンがないため、自分の必殺を押し付けやすいし、自分の弱点をついたり揺さぶりをかけたりしてくる事が読めてしまう。

 

今、強い選手はとにかく押しつけが強い選手が多い。これどうする?これどうする?と押しつけていく事が目指すべき境地である。

ただ、これも最低限以上の総合力があった上での話だ。先ほどの点数票で行くと、尖ったり歪だったりするものの弱い部分でも平均以上の実力が必要である。100点以上の武器がいくつかあり、その上弱点も平均以上でなくては今後のMMAではトップに立てない。

 

筆者が遊んでいるカードゲームでも、コンボデッキとフェアデッキと呼ばれるアーキタイプがある。

コンボデッキいわゆる必殺技を持っているカード達で、その必殺を決めるためのカードのみで作られている。そのため一貫性と再現性が高いのが長所であり、欠点は1枚の対策カードで必殺が崩壊する事だ。

フェアデッキは必殺を持たないものの、どんな状況でも戦えたり、アドバンテージを回復するカードで作られている。必殺こそないものの、対応力の高さが長所であり、欠点はピンポイントの対策カードが無い場合コンボデッキに太刀打ちできない事だ。

 

そしてカードゲームの場合、往々にしてコンボデッキが強い。

何故ならフェアデッキはどんな相手でも戦えるカードが入っているカード=コンボデッキの弱点であるピンポイントの対策カード、いわゆる尖ったカードよりも、いつ引いても一定の効果がある丸いカードが多いため、コンボデッキの必殺止めれないのだ。

 

カードゲームは3戦して、2戦取ったものが勝つ。そのためコンボデッキは1戦目を取り、2戦目を対策カードを対策するカードのみを入れて自身の必殺はそのまま押し付ける、しのがれて負けても3戦目で再び押しつけて勝てばいいと言うプランになる。

そのためコンボデッキが強いのだ。

 

MMAもこれに似た事が言えるのだと思う。

短所を補うのは素晴らしいがある程度の線引きをして、それ以上のスキルは長所を伸ばすために使うのがいいだろう。攻撃は最大の防御というが戦術面だけではなく、培う技術もこの考え方が必要なのではないかと思う。