正直まだ理解と整理が追いついていないが振り返りを書き進めようと思う。
① セラフィムについて
セラフィムについては、既に多くの考察者が説を唱えている。
① アルベルの血統因子から作られた
② ハンコックやミホークに似ているのは奴隷時代に、あるいは七武海加入時に血液を取られたから
③ カイドウ型の可能性
④ 悪魔の実や技能のコピー
etc…
筆者は当初ミホーク型は、アルベルに見えていたので、この説は目から鱗だった。加えて七武海の血統因子を取っている事や、ルナーリア族を捕らえて改造したのではなく、アルベルの血統因子から作ったと言うことも全く発想しなかった。
さすが考察者の方は視点が鋭い。
それでは見ていこう。
①については議論の余地はあるまい。恐らくその通りだろう。
②については若干の疑問が残る。
ハンコックについては奴隷時代に血液を採取できたから、と言われているがおかしくないだろうか?
奴隷の数など、それこそ星の数ほどある中で、天竜人が直接買ったものから、売られて来たもの、海軍に捕まって奴隷に堕ちたものなど、数もさることながら奴隷に至るまでの経緯が多岐に渡る。
その中で血液を摂るなんて面倒な事をするだろうか?
しかも奴隷という事は基本的には遺伝的に劣性であり、能力が低いから奴隷に堕ちたり売られたりする訳で、兵器を作る上でそんな劣悪な遺伝子をわざわざ手間をかけて取ったりするのはおかしい。
さらに、様々な所から色んな経緯で送られてきた膨大な数の奴隷から一人一人血液を採取したとしよう。これはどこそこの誰々の血液などと、ラベル分けするだろうか?これも考えにくい。
つまり、ハンコックが奴隷時代に血液を取られたというのは、そんな手間のかかる事を、しかも奴隷という劣悪な者から取るなんてことはしないと考える方が現実的だ。
それに同じ兵器化するなら、優秀な海兵から健康診断の時に採取すればよい。わざわざ奴隷からする必要はないはずだ。
赤犬やガープを量産すればいいだけである。
ハンコックが七武海になれる器であったのは、奴隷時代の後に分かった事であり、奴隷になった瞬間、奴隷時代は戦闘力に秀でた人物とは見なされていないだろう。
また七武海加入時に血液を採取するというのもシュール過ぎる。政府側がそんな条件を盛り込んでいたら海賊達もバカではないので警戒するだろうし、ひいては七武海そのものが成立しないかもしれない。そう考えると加入時の採血というのは考えにくいだろう。
もちろん、奴隷時代に採取された可能性も十分ある。
それは九蛇海賊団の美女が売られたため、戦闘に秀でた九蛇、さらに美女なので遺伝的に優性であるため採取しておいた。そしたらたまたま七武海になれる器だった。このように考えれば不自然さはない。
他には加入時にサインの代わりに血判を押させることだ。これの方が時代的にも海賊らしく違和感はない。もし今後、七武海のセラフィムが登場したらこの血判書での採血パターンが濃厚だろう。
しかし、先程も言った通り、わざわざ七武海から採血するより赤犬やガープから取る方が取りやすいし、海軍の血液なので従順さも遺伝できる可能性もある。そしてベガパンクなら整形などお手の物だろうから、むしろ赤犬やガープ、カイドウとルナーリア族からセラフィムを作り、その後に容姿を七武海に似せて整形し、メロメロやイトイトなどを再現した方がより完成度が高くないだろうか。
要は、わざわざ手間をかけたり危険を犯したり、海賊の人間性になるかもしれない血統因子を取るよりも、より確実に手間がかからず従順にしやすい優秀な血統因子が手に入るのだからそちらから取ればいいという話である。
③のカイドウ型だが、これは大いに考えられるだろう。むしろ無い方が不自然だ。ベガパンクがウオウオの実の複製に成功していた事からカイドウ型のセラフィムが登場した場合、ウオウオの実の力も使えるだろう。
④の悪魔の実のコピーについてだが、パンクハザード時点ではゾオン系しか複製できていなかったが、もはやほぼ全ての種類コピーできると考えた方がいいのではないだろうか。
悪魔の実のコピーが全種に及んでいると考えたのはいくつか理由がある。
① ハンコックと見た目がそっくり
② モモの助が食べた悪魔の実はパンクハザード編の時系列よりもさらに前に作られたもの
③ シーザーのSMILEがミスリード
ハンコックと見た目がそっくりなのは、メロメロの実を使えるために美女である必要があるためと考えられる。
単にハンコックの血統因子を使ったと言っても、そもそも強い兵器が欲しいならカイドウ型や赤犬型を量産すれば強さ的には問題ないはずである。
これはつまり、わざわざハンコック型を作る意味があったと考える方が自然だろう。それはつまりメロメロの実を使うためではないだろうか。
まぁ、そんな難しい話ではなく、単純に旧七武海の代わりという事で七武海の血統因子を使ったとも考えられるが…
パンクハザード編時点で、既にベガパンクはゾオン系悪魔の実の完全コピーを成し遂げている。あれは失敗作とは言えない。
モモの助が食べるよりも、赤犬と青雉の戦いよりも前にウオウオの実は作られていたと考えられるので、作中の時間経過的に今ならパラミシアやロギアが作れていてもおかしくはない。
というより、むしろ作れてなければ劣化版七武海なるのではないか?
ミホークやジンベエはともかく、クロコダイルやドフラミンゴなどは、悪魔の実の力と覇気があってこその強さだった。それを本人の血統因子を使ったから本人と同じような戦闘力になるだろうとは、ならないはずだ。
それにメタ的に考えて、今後七武海のセラフィムが登場したとして、何の能力もないただのビームが打てるルナーリア族だったらインパクトが無さすぎる。
それなら複製不可能と思われていた悪魔の実を本人のように使いこなすセラフィムが出る方が漫画的に面白いし、絶望感ハンパない。
そもそも我々がゾオン系しか複製できないと思っているのは単なる思い込みである。
別に作中で明記されたわけではなく、単にゾオン系しか複製が登場していなかったからだ。これは作者に思い込まされていると考えた方がいいだろう。
シーザーというベガパンクの下位互換と、パンクハザード編でモモの助が食べた事によって、失敗した人造悪魔の実がパンクハザード編時点で作られたと思わされているだけで、実際はモモの助が食べる遥か前から作られていたし、そこから時間は経過し、何よりベガパンクが研究している。この事から悪魔の実は全種コピーされていると考えていいのではないだろうか。
ミホークの剣技やジンベエの魚人空手なども、習得可能なものであるため、本人レベルではないにしても、ある程度の水準で使いこなせるのではないだろうか。
② ベガパンクの考察
前回の記事でも書いたが子供を改造するとは思わなかった。
上述のように、アルベルのクローンからセラフィムを作ったのなら子供を改造したわけじゃないから、ベガパンク良い者説は消えないなと思ったが、実はマッドサイエンティストの可能性が高まったと言える。
何故なら血統因子で作られるクローンは、あくまで生物であり、手からビームを出したり瞳が星形である意味は解決しないからだ。
ジェルマ66のイチジやニジ達も素で外骨格や驚異的な力などはあったが、あくまで本領はレイドスーツを来てからだった。
このことから、手から発射していたビームは恐らく生後に付け加えられた武器だと思われる。実際、クイーンやフランキーもビームを出しているのは生身の身体ではなく、機械化していた部分からだったので、セラフィムにも同じ事が言えるだろう。
これはつまり、生まれた子供を改造し兵器化していることに他ならない。むしろ、クローンから作った分、より非人道的である。
思い起こせば、非人道的な研究をするMADSに所属していた事も考えれば、むしろマッドサイエンティストと考える方が自然なのかもしれない。
ただ、幼少期は心の優しい少年だったと言われているため、何らかの事情があって、非人道的な研究をしているパターンであって欲しい。
筆者がそう考えるのは、幼少期のエピソードに加えて、パンクハザードの人造悪魔の実の件がある。
パンクハザードでモモの助がベガパンクの人造悪魔の実の失敗作を口にしており、中身は失敗作どころか、本物と遜色ない能力だった。
この事から筆者は、ベガパンクは良い人物であり、わざと失敗作と言うことで、悪魔の実は複製できないと政府に思わせたかったのではないかと考えていた。
何故ならこれが失敗作とは到底思えず、成功作と知られたら、政府に量産を命じられ、世界のバランスは崩れ去り、恐らくベガパンクは良い人物なので、それを嫌がり真実を隠していたと思っていた。
しかし、セラフィムといういわば子供兵器の開発や、クローン人間、科学の進歩による世界の破壊など、まるで現実世界の科学のように、バランスをまるで考えていない。自分の研究という欲望や、何らかの目的のためなら悪魔にも魂を売っているような状態である。
それにベガパンクを放置すると世界はめちゃくちゃになるだろう。
実際ベガパンクが政府から離反しない限り、海賊や革命軍側の戦力は厳しい気がする。
ベガパンクに時間を与えれば与えるだけ、覇気や悪魔の実、古代兵器さえ上回る兵器を作り出しかねない。
それゆえに良い人物であって欲しいのだ。
③ ベガパンク最強説
そして味方であってほしい。何故なら恐らくONE PIECE世界で最も恐ろしい敵は赤犬でもイム様でもなくベガパンクだからだ。
ベガパンクこそ我々の住む現実世界を象徴しているものであり、ONE PIECE世界に登場する現実世界そのものと言える。
物に悪魔の実を食べさせる事から始まり、パシフェスタやその量産型、人造悪魔の実、海桜石のパドルシップ、セラフィムなど、続々と今まで守られて来たONE PIECEの世界観や設定、ONE PIECE世界での戦闘力や防御力などが、ベガパンクの手によって壊れ始めている。
それを示すようにシャクヤクが「進歩は誰かを困らせる」と語っていたように、現実世界でも自然の猛威を人間が科学力で克服するように、ONE PIECE世界のバランスが崩れ去りつつある。
恐らく古代兵器の情報を知らなくてもベガパンクの頭脳と発想力なら類似品を意図せずとも作り出しそうだし、それを超える兵器が出てきそうだ。
この流れは何となく、もののけ姫やナウシカ、海皇紀を思い出させる流れになってきている。
特に海皇紀という漫画では、科学の力で世界征服を企むロナルディアと、そういった大量破壊兵器を使わない戦争で立ち向かう海の一族の戦いが描かれた。
序盤では大砲を積んだ軍艦一隻だったが、中盤から大量に出てくるようになり、このままではロナルディアに支配されるため、今のうちに討つしかないという事で、デジタルvsアナログのような戦争が描かれる。
これからのONE PIECEの戦闘シーンや「世界を巻き込む巨大な戦い」はこれと似たような戦いになるのではないか。
我々は、悪魔の実や覇気の強さに気を取られがちだが、1059話で示されたように、人が作り出す兵器は徐々にそれらを凌駕し始めている。
まるで、もののけ姫が科学力の進歩と共に、環境破壊や自然を尊ぶ感性も否定される世界になっていることに警鐘を鳴らしていたように、ONE PIECEでも悪魔の実や覇気などの力を科学力が絶望的な力で否定し、奴隷を用いた支配的な政府が生まれる恐怖を読者に感じさせ、環境問題や科学や戦争に対する倫理観を持ち直させようとしているように筆者には見えるのだ。
つまり、現実世界で雷や台風、雨などの自然現象が神によって起きていたと考えられていた時代から、科学によって原因が判明し、旧時代的な思想が否定され、自国の利益のためなら環境破壊や途上国の国民など知ったことかという思想になった現実世界の歴史を、ベガパンクと世界政府を通じてONE PIECE世界にも持ち込んでいるように見える。
その恐怖を1059話からまざまざと見せつけられた。
④ まとめ
セラフィムの登場によって戦局は大きく変わるだろう。
ただビームを発射できるルナーリア族なら、正直ゾロが一刀両断できる。
結局ルナーリア族の体質さえ理解すればある一定の力を持つものなら何なく倒せるだろう。
ゾロも攻略法が分からなかった上に、四皇と戦った後というのもあって苦戦したが、本来ならもっと楽に倒せるはずである。
それに七武海の悪魔の実をコピーしていないなら、わざわざ七武海の血統因子を使う意味がない。
そんな事をするくらいなら、ガープやセンゴク、赤犬など海軍にいくらでも人材はいるし、カイドウの血統因子もあるはずなので、そちらを使った方が遥かに強いセラフィムが出来上がるだろう。
にも関わらず七武海の要素があると言う事は、戦闘においても七武海の要素を取り入れたからではないだろうか。
単に七武海の代わりという意味で容姿を似せるためという理由だけではあるまい。
実際ミホーク型は剣を使っており、山を両断していた。これは七武海の能力や戦闘はセラフィムも使えるよーという作者からのメッセージに他ならない。
また、心優しい少年だったベガパンクに、これほどのパワーバランスの崩壊と非人道的な研究をさせる理由や弱みも忘れてはならない。
彼の研究によっては、古代兵器や海賊達おも上回る兵器が登場しかねない。
つまり、根っからのマッドサイエンティストではなく、何らかの事情で政府に加担しており、そこからベガパンクを切り離す必要があるのだ。
ここまでくるともはやヒロインである。(笑)
世界をひっくり返すのに必要なものは、ONE PIECE、古代兵器、ベガパンクである!(笑)