呪術廻戦≡の考察界隈で、マルルが領域展開をしているという考察があるらしい。
TwitterもといXで見かけた考察だから、何故その人がその仮説を立てたのか、その経緯と経緯の原因となる根拠が述べられていなかった為、詳しい事まで分からないのだが、このマルルの領域展開説について論じていこうと思う。
① マルルの領域展開説の概要
この説はどうやら以下の事を説明する為にいくつかの根拠と共に拡散されているようだ。
- 摩虎羅vsダブラの強制終了
- ダブラの強制送還
- マルルの領域展開に関する知識
- 地球規模の術式発動
①摩虎羅vsダブラの強制終了
憂花を守る為には何らかの形で摩虎羅の調伏の儀を中断する必要がある。
それには
- 異分子である虎杖が介入する。
- マルルが現生人類から呪力を奪う事で調伏の儀を行なっている十種影法術を強制的に終了させる。
この2つしか考えられなかったわけだ。
そこにマルルの術式効果により、アフリカへ強制転送する事で、調伏の儀の続行を実質的に不可能にする形で摩虎羅vsダブラを終わらせた。
これにより憂花が助かったわけだが、ダブラをアフリカへ強制転送するのが、一部の読者が突拍子の無さを強く感じたらしく、批判めいた感想や「そんなの有り得なくね?どうなってんの?」みたいな意見が出てきたらしい。
それらを補填する為に「マルルが領域展開していたから、そんな不可能な事も実行できてるんだよ?」という形でこの説が拡散されているようだ。
②ダブラの強制送還
これについても基本的に上と同様である。調伏の儀を強制終了させる為には、ダブラを十種影法術の調伏の儀の効果範囲外へ引きずり出す必要がある。その為には地球外へ飛ばすのが最も確実な方法なのだが、ダブラをシムリア星へ飛ばしたところで妹にかけられた呪いを何とかしなければ意味がない。その為に黒縄を渡す為に一度アフリカへ飛ばしたわけだが、そのように「アフリカへ、人を飛ばすなんていう荒技が可能なの?」という疑問の解答としてこの説が唱えられている。
③マルルの領域展開の知識
加えてマルルがダブラに領域展開の知識を授けた事からマルルには領域展開の知識や技術があると考えられる。そうであるならば、自身が領域展開も可能であろうというのが根拠となっているようだ。
加えてこれだけの効果を発動するには領域の必中効果で作用させていると考える方が自然である。という主張もあるようだ。
④地球規模の術式効果
これも①、②と同様で、アフリカへ飛ばしたり、都合よく黒縄が渡されたり、シムリアへ人を飛ばしたり、そんな無茶苦茶な事ができるのはマルルが領域展開を行ない、「領域のバフ」、「乙骨の呪力」、それらをブーストさせる「ムル」を駆使した事で超強力な現実改変を地球規模で行なっているという主張なのである。
②マルルの領域展開説の否定的根拠
筆者はこの説には懐疑的だ。というかあり得ないと思っている。根拠はいくつかあり、
- マルルの術式は情報も感じ取れる
- 元々、宇宙規模の「何でもあり」をやっていた
- 髙羽史彦
- 必中効果がなくても調和は取れる
①マルルの術式は情報も感じ取れる
マルルが領域展開を知っており、それをダブラに伝えた事が、マルル領域展開説の1つの根拠になっているが、まずここから否定したい。
そもそもマルルの術式は情報を感じ取れる。その描写は新連載冒頭から最新23話まで一貫して描かれている。
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(引用:呪術廻戦≡/芥見下々、岩崎優次)
1枚目の画像のシーンを見てほしい。虎杖は「ノートの内容は入ってるというより、参照してるって感じね」と吹き出し外で呟いている。これはつまり、マルルはノートを読んでないけどその中身を感じ取れているという事である。
次に呪術廻戦≡、新連載時の冒頭のシーンの画像を見てほしい。ここではクロスが目を閉じ、何かに集中して何らかの情報を得る為に術式を使っているかの様に受け取れるシーンが挟み込まれ、「なるほど」と呟き、「日本には我々と同じ力を持った人種がいるようです。」「彼らは呪術師と呼ばれています」喋っている。
これも、調和の術式を使う事で調和に必要な情報や障害とその原因、調和に必要な要素を把握する事が可能なのだろう。要は調和という目的を達成する為に必要なものは術式がフルオートで術者であるマルルやクロスに直接情報を送り込むのだろう。秤の座殺博徒のように。
つまり、マルルは領域展開を知らなくても、術式が調和を取る為に摩虎羅vsダブラを中断させる必要があると判断したなら、その為に必要な情報や知識をマルルは得る事が可能であり、それを当人であるダブラへテレパシーのように送る事も可能なのだろう。
それにシムリア星は呪術後進国である。領域はおろか反転術式や術式反転、拡張術式に縛りすらも存在しない。過去回想でも領域どころか結界術を使っている描写すらない。そしてダブラの戦闘シーンを見ても術式攻撃と肉弾戦しかしていない。この事からシムリア星に領域を含めた結界術自体が存在していないと考える方が自然である。
一応、母船ナウナスクは結界で非術師に見えない様に覆われているが、シムリア星に結界術が見られない事や呪術後進国である事を考えると、これもマルルやクロスの術式によって結界術の知識を地球から仕入れて運用している可能性が高い。
それにそもそもマルルが領域を展開できるなら、何故、真剣の時に使わなかった?本人も殺す気でやると言っていたし手加減する余裕なんてなかったはずだ。
百歩譲ってマルルにシムリア星にいた頃から領域展開をする技術と知識があったとして、何故それをマルルしか知らない?
何故、シムリア最強であるダブラがそれを知らない?反転術式や術式反転すら知らない民族の中でただ1人だけ領域を知っているのはあり得ないだろう。
これらの事からマルルを含めたシムリア星人は、誰も領域を含めた結界術や反転術式、縛りといった呪術を知らなかった。
しかし、マルルの術式によって地球の情報や知識にアクセスが出来るので、ナウナスクを隠す結界やダブラに領域展開の知識を伝授したと考える方が自然である。
画像の様に領域展開を知らなくても、マルル達は領域展開の知識を仕入れる事ができるのだから、呪術後進国であるシムリア星でマルルだけが領域展開を知っているという矛盾を作る事なくダブラに領域展開の知識を授けた説明が可能なのである。
②元々、宇宙規模の「何でもあり」をやっていた
そもそも最初からマルル達の術式は何でもありだ。真剣が言っているように、決闘などで政治を決めて、帆船で移動するような文明が宇宙船を建造できるのか?という疑問がある。それに対する解答はマルル達の術式でしたというのがモジュロの正式な解答である。
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(引用:呪術廻戦≡/芥見下々、岩崎優次)
水を沸騰させたり、凍らせたり、植物を急成長させたり、天地を逆転させたり、宇宙船を作ったり、本来、人の一生では辿り着けない地球への旅路を2年に省略させたり、明らかに常軌を逸している。
そう、元々何でもありな術式なのである。地球を目指したのもルメル族にとって共生できる地をマルル達の術式で検索をかけたら地球がヒットし、地球に向かう為に必要な宇宙船の知識を地球やその他の文明がある星から仕入れて建造したりしていたのだろう。
加えて本来どれほどの年月が掛かるか分からない地球への旅路も2年に短縮しているし(マルルが真剣に対して、「私達の術式を駆使しても地球に来るまで2年かかった。」と述べている。この事から調和の術式によって星間航行を2年に短縮していることが分かる。)、日本語での会話も可能だし、マルルが望めば真剣がマルルのいる場所へ真っ直ぐ来れるように誘導する事すら可能なのである。
そう、ダブラへのアフリカへの転送やシムリア星への強制送還など、出来てもおかしくない事ないのだ。ただでさえ何でもありな術式なのに、今では乙骨の呪力とムルで呪力と術式効果にブーストをかけている状態である。別にアフリカへ転送する事など、出来て当たり前であろう。
③髙羽史彦
それに我々はもう1人、何でもありな術式を知っている。そう、「超人」である。髙羽の何でもあり、現実改変を思い出せば別にマルル達がしている事は普通の範囲内だろう。
というかマルル達の術式は「超人」の亜種ではないだろうか?
「超人」は髙羽が面白いと思った事を現実にする術式だが、マルル達はそれが混沌と調和に対して働くのだろう。つまり、髙羽が面白いと思った事を現実にするように、マルル達が調和したいと思った事を実現する術式なのだろう。
とは言え、独りよがりな「超人」と違い、調和は誰かと手を取り合う事でしか実現しない。その為、術式が調和を取る為に必要な知識、人、状況などをある程度集めて術者に共有するのだろう。その力を持って地球を知り、日本の呪術師を知り、日本語で会話を行ない、会いたいと思った人に会いに行けるのだ。
髙羽に乙骨の一生分の呪力を与え、その呪力と術式効果を大幅に強化する高純度のムルがあったなら、地球規模で「超人」する事など難なくない事は想像つくだろう。
④マルルの術式は対象に当てる必要がない
そもそもマルル達の術式は術式を当てるという概念がない。領域展開説では、領域の必中効果
として、全日本人に調和の術式を必中させ、魂の色を上書きしたや、アフリカ転送を行なったと主張しているが、そもそもそのような術式効果を当てるというタイプの術式ではない。
東堂の不義遊戯や髙羽の超人同様に「ただそうなる」のだ。「超人」や「不義遊戯」同様、必中という概念がない、必中術式なのである。一度発動させたなら、もうそうなるのだ。そもそも必中させるなどという次元の話ではないのである。
もし、本当にそれらに対象となる人や物質に調和の術式を当てることが必要なら、認知症爺さんとの戦闘や、地球への航行にも術式を当てていた事になる。一体どうやって宇宙空間にいるマルルが地球に調和の術式を当てたのだろうか?
もし、ダブラをシムリア星へ送還したあの事象が必中効果であるなら領域の効果範囲は宇宙にまで及んでいる事になる。
このようにマルル達の術式は、調和の術式を対象に当てて、それに対して調和を取るという術式ではなく、調和を現実にする術式なのだ。不義遊戯や超人と同じような術式効果である。
③まとめ
マルルが領域展開してる説には、いくつか矛盾がある。
- 何故、マルルだけが領域展開を知っているのか?
- 呪術後進国のシムリア星で、何故マルル1人だけ高度な結界術の知識と技術を持っているのか?
- 何故、真剣との戦いで使わなかったのか
- マルルが領域を知らなくても領域の知識を術式によって得る事が可能である
- アフリカ転送やシムリア転送も、今までマルルがしてきた事と乙骨の一生分の呪力と高純度のムルがあれば十分可能である
という事を作中の描写のみで明確に把握できる以上、この説には否定的にならざるを得ない。
ダブラに領域展開の知識を授けたからと言って、マルルに領域展開の知識と技術がある事の根拠にはならない。何故ならマルルの術式は、外部から仕入れる事が可能だからだ。それは新連載の冒頭でも最新23話でも描かれている。
アフリカやシムリアへの強制転送も領域のバフなどなくても十分可能だ。宇宙船を作ったり、星間飛行を2年に短縮したり、日本語での会話や天地の反転、水の沸騰や氷結など、そもそもがあり得ない事をやっているのだ。今更人2人くらい転送する事などわけないだろう。仮に難しかったとしても、乙骨の一生分の呪力とそれらを強化するムルがあるのだから十分可能だ。
マルル達の術式は混沌と調和を当てる術式ではなく、混沌と調和を現実にする術式である。別に相手に当てるとかそういった概念ですらない。イメージ的は髙羽の「超人」の亜種、調和版「超人」といったところだろう。
そのように捉えると最新23話の描写は突拍子もない内容ではない。きちんと新連載冒頭から読んでいけば、自然な流れで認識できる範囲の描写である。
少なくとも領域展開の技術のない星から来た人が、何故か1人だけ領域展開の技術を持っていいて、何故か自身は戦いにそれを使わず、何故かそれを他人に教えたという矛盾を解決せずに済む。
マルルに関しては強化版髙羽であり、強化版「超人」なのである。