ネタバレ注意!
最新話の内容を含みます。
① 本記事の結論
この章を読むだけで済むように結論と概説だけ本章に記載する。
- Dの意志の正体は感動である
- ネフェルタリ家は途中からDを名乗りポーネグリフを解放した
- 巨大な王国の敗因は数の力
Dの意志
Dの意志は受け継がれる意志が描かれたドラム島編で初登場した。従ってドラム島編で描かれたものと同じ形で受け継がれていると考えられる。
ドラム島編ではヒルルクの言葉に感動したドルトンがワポルに反抗した。この時に血縁や帽子、悪魔の実を介さずに、「人に忘れられた時に人は死ぬ」という言葉によって突き動かされた。ヒルルク自身も満開の桜によって病が治るという奇跡を体験した。
よってドラム島編では意志は感動で受け継がれる事と、感動によって人知を超えた奇跡が起こる事が示唆されている。
つまり、Dの意志も血縁や麦わら帽子、悪魔の実で受け継がれるものではないと言える。
ネフェルタリ家は途中からDを名乗りポーネグリフを解放した
最初からDだったら20の国の連合軍に加われないし、Dを隠して連合軍にスパイとして入っているという説もアラバスタの4000年の歴史を考えるとあり得ない。
さらに空白の100年が巨大な王国と20の国の連合軍との100年に及ぶ戦争の歴史という事から、リリィの父か祖父が戦争を起こした可能性が高い。
戦争の真実を知ったリリィはDに寝返りポーネグリフを解放し、密かにDを名乗った。
こう考える方が最も矛盾が少ない。
巨大な王国の敗因は数の力
作中で度々、「何者も数という力には及ばない」という発言がある。
巨大な王国は最低でも、プルトン、ポセイドンを所持しており、高度文明まで発達している。負けようがない中、敗北した理由はプルトンを奪われた、ズニーシャが裏切ったなど憶測が飛び交っている。
しかし、作中で明確に「何者も数という力には及ばない」と言及されているので、巨大な王国は20の国の連合軍と世界中が敵に回り敗れたのだと筆者は考察している。
何故、世界中が敵に回ったのか?それは何らかの感動が起こり「8ヵ国革命」のような世界的なうねりが起きたのだろう。
② Dの意志の正体は感動である
筆者は以前は、Dの意志は感動によって受け継がれると考察した。
根拠は
- 意志が受け継がれた時、血縁や麦わら帽子、悪魔の実を介していない
- 意志を受け継ぐものは複数いる
- 「受け継がれる意志」が語られたドラム島編で初めて「Dの意志」が登場したので、受け継がれる意志と同じ形で「Dの意志」も受け継がれる
- 必ず感動が起きている
- 感動は世界を変える
かいつまむとこのようになる。
まず、ヒルルクの意志は血縁も帽子も悪魔の実も一切の関わりのないドルトンに受け継がれた。この時ドルトンは「人が死ぬのは人に忘れられた時さ」というヒルルクの言葉に感動してワポルに反旗を翻した。
白ひげは「ロジャーの意志を受け継ぐ者達がいるように」と発言していたことから、意志を受け継ぐ者は複数いることが分かる。複数人に受け継がれるなら、1つしかない麦わら帽子や悪魔の実で受け継がれることはあり得ない。
加えて白ひげは「血縁を絶てどあいつらの炎は消えることはねぇ」と言っていることから血縁で受け継がれるものではないことは明白である。
つまり、
- 「受け継がれる意志」は作中で、血縁と麦わら帽子と悪魔の実で受け継がれたことはない
- 白ひげの発言から、複数人に血縁以外で受け継がれるものと明確にわかる
- 「受け継がれる意志」と「Dの意志」が同じドラム島編で語られたことで、「Dの意志」も「受け継がれる意志」と同じ形で受け継がれることを暗に示している
感動というのは、不特定多数の人に影響を与える。そして世界を変える事ができる。だから感動を起こす物語だけをポーネグリフに記し残したのだ。
実際にONE PIECE作中でも感動によって奇跡が起こった描写がある。それがヒルルクだ。彼は山一面に咲く桜を見た事で感動し、病が治った。
感動には人智を超えた奇跡を起こす力があり、ロジャーの言葉に突き動かされて大海賊時代が来たように、エースの死によって終わるはずだった大海賊時代が白ひげの言葉で再び息を吹き返したように、感動は多くの人々に伝わり、世界を変える力がある。
③ ネフェルタリ・D・リリィ
1085話でネフェルタリ家のリリィにDがつくことが明らかになった。
現在議論の的になっているのは
- ネフェルタリ家は最初からDだったのか
- コブラもビビもDが付いているのか
- 今もDが付いているならそれを隠しているのか
これが争点になっている。
この記事で論じたが
- ネフェルタリ家は最初からDではなかった
- コブラもビビもDは付いていない
- リリィの意志を受け継いだコブラは死の間際にDとなった
- リリィが生まれたときから空白の100年の戦争は続いており、戦争の目的と正義に疑問を持ったリリィが、ジョイボーイと接触し巨大な王国に寝返り、Dを名乗り、ポーネグリフを解放した
このように考察した。
根拠は
- 最初からDなら20国の連合軍に加われない
- 巨大な王国のスパイ説も、アラバスタの4000年の歴史とそこから続く王家の長い歴史を考えれば、ネフェルタリ家誕生からDを隠して900年前にスパイとなった可能性は極めて低い
- 空白の100年は巨大な王国と20の国の連合軍との100年に及ぶ戦争の歴史であるとサテライトが語っている事と、800年前のリリィのシルエットが若々しいことから、戦争を始めた900年前の当時のアラバスタの王はリリィの父か祖父の可能性が高い
- リリィのシルエットがビビに似ていることからリリィもビビのような行動を起こす可能性がある
このように最初からリリィがDであった可能性は極めて低く、巨大な王国と関わりができてからDを名乗ったと考える方が現状、最も矛盾が少ない。
そうであるなら、筆者の考察しているDの意志とも合致する。
④ チ。ー地球の運動についてー
上の記事でも書いてあるが筆者はこの作品こそが、Dの意志を説明していると思っている。
この作品は、天動説の時代に弾圧されながらも真理に挑み続けた地動説の研究者を描いた作品である。
作中で地動説は明確に3度抹消されたが、そのたびにわずかに残された感動によって、0から地動説は誕生していく。
このような描写がある。
(引用:チ。-地球の運動について-/著者魚豊)
これはホームレスの頭に地動説に関する文章の刺青を彫り、それを司祭が本に残して後世に伝えるシーンだ。
普通に本にしたら燃やされてしまうし、現実世界にはポーネグリフのような鉱石は存在しない。そのため、ホームレスの頭に地動説の文章を彫ったのだ。
ここで重要なのは地動説の学説ではなく、誕生と継承された経緯を記した叙事詩であることだ。なぜ刺青を彫った人物は学説ではなく叙事詩を選んだのか?それは感動するからだ。
感動すれば学説を残さなくても感動して立ち上がった人々により研究は進み、やがて復活する。
だから一番最初の写真に書いてあるように、「感動だ。それさえ残せれば後は自然と立ち上がる」
筆者はリリィがDに寝返ったのは恋心とか、本当は20国の連合軍が私欲のために戦争を起こしたとか、そういったものではなく、巨大な王国の思想や理念、ジョイボーイの人柄に感動して惹かれたからDを密かに名乗り、ポーネグリフを解放したのだ思う。感動を残して、世界を変えるために。
「血縁を絶てどあいつらの炎は消える事はねえ」白ひげがこれだけ言い切るDの意志が、血縁や麦わら帽子、悪魔の実などで受け継がれるものとは思えない。
もっと普遍的で、感染力が強く、世界を動かせるほどのものでなければ説明つかない。すなわち感動である。
⑤ 巨大な王国は何故負けたのか
筆者は巨大な王国の敗因は、ズニーシャの裏切りとか、ポセイドンとの約束を守れなかったとか、プルトンを奪われたとか、そういったものではないと考えている。
ではなぜ負けたのか?
それは20の王国だけでなく、世界中が敵に回ったからだと考えている。
この記事でも書いているが、作中で度々「どんなに強大な存在でも多勢という力には敵わない」と言及されている。ということは巨大な王国も数という力によって敗れたのだと思う。
世界中が敵に回るというのは、ヒトラーのような扇動者や悪魔の実の洗脳能力では説明できないだろう。それを証明するかのように「8ヵ国革命」という革命軍の予想以上に民衆が数という力を手に入れて王政を倒している。これと同じことが空白の100年にも起きたのではないか?
世界中が巨大な王国を敵に回すほどの理由、あるいは感動が起き、それによって敗れた。感動は心が動くことなので、楽しい事や悲しみで涙が出ることだけではない。怒りや憎しみ、愛や友情、夢や期待など、感情によって心が動くことを感動というのだ。その感動が良いほうに向かえば平和が訪れるし、悪いほうに向かえば戦争に向かってしまう。これによって巨大な王国は敗れたと考察している。
⑥ まとめ
- Dの意志は感動によって受け継がれる
- 感動は良い方向に向かえば平和になり、悪い方向に向かえば戦争になる
- 巨大な王国は感動によってうねりとなった世界中の国々という数の力に敗れた
- 滅びゆく巨大な王国の思想に感動したリリィは密かにDを名乗り、感動を後世に残すためポーネグリフを解放した
このように考察している。