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MMAのバックボーンについて①

反則以外何をしても許される総合格闘技。このブログではMMA(Mixed Martial Arts)と言わせてもらっている。

 

MMAは文字通り制限のない格闘なので、様々な格闘技から選手が集まってくる。

特にレスリングや柔術、サンボ、空手をバックボーンに持つ選手が多い。

今回はそのバックボーンについて見ていこうと思う。

 

 

MMAに向いてる格闘技

MMAに向いている格闘技は、組技系、寝技系の格闘技だと筆者は思っている。


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MMAは全ての攻撃手段が許されており、大きく3つに分ける事ができる、打撃と組技と寝技だ。

このうち打撃と組技と寝技、どちらで戦うかを選べるのが組技系、寝技系の格闘技だと筆者は思っている。

 

例えばボクシングがバックボーンの選手が寝技や組技で戦いたいと思っても、相手に組みついたり、組んでから投げたり、タックルに行ったりする練習はボクシングにはないので、精度の低いものになる。

 

しかし、レスリングがバックボーンであれば、組みつくこともタックルに行くことも、組みついた先の投げ技や寝技になった先のポジション取りも優位に立てる。

 

つまり、打撃系の選手は打撃でしか勝負できないのに対して、組技や寝技系の選手は、打撃でも寝技でも好きな方を選ぶことができる。

打撃で戦いたかったら組み付かず、組み付かれても対処し、寝技で戦いたいと思えばタックルや組んでから投げることができる。

打撃か組技か寝技か、この選択権を握るのが組技系、寝技系の格闘技であり、自由に選択できる、選択肢が増やすことができるのが、MMAにおいて大きな長所だと筆者は思っている。

 

レスリン

組技系の格闘技の中でもMMAで最も活躍している格闘技と言えばレスリングだ。

 

一つ目の理由としては、柔術や柔道と異なり、総合格闘技に近い服装で練習や試合をしていることにある。

柔術や柔道は袖や襟を掴む技がMMAで使えなくなるのに対し、レスリングは殆どの技をそのまま使うことができる。

100あるうちの柔道や柔術が70しか使えないのに対し、レスリングは100あるうちの100使える。そのような印象だ。

 

二つ目の理由は、遠い間合いから寝技に行くことができる、タックルを使えることだ。

柔道が組んでから投げなければならないのに対し、レスリングは組む必要すらなく、タックルでテイクダウンを狙える上に、タックルのフェイントを入れる事で、相手はタックルを防ぐために両手が下がるのでパンチを入れやすくなるという、打撃が許されるMMAならではの使い方もできる。

さらに相手からのタックルも防ぎやすく、自分が打撃で優勢なら相手のタックルやクリンチを捌いて打撃で勝負するとこを選べる。

 

三つ目の理由は、レスリングをしていれば自然と組技と寝技に耐性があるので、打撃に集中する事ができるし、なによりボクシングと相性がいい。

両方とも足のスタンスが広いため、馴染みやすく、ボクシングはパンチのみなので、覚える方も足より手の方が器用に動くこともあって覚えやすい。

さらにタックルで鍛えられた踏み込みの速さやフットワークの軽さは本職のボクシング以上である。

 

構えが似ていて、パンチのみという事で覚えやすく、レスリングの踏み込みの強さを活かしつつ、組技・寝技の攻防はレスリングに任せ、打撃はボクシングで戦うというシンプルが故に完成度の高いスタイルを身につけることができる。

 

この三つの理由により、MMAではレスリングをベースにする選手が非常に多く、また勝率も高い。

 

 

ブラジリアン柔術

 

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レスリングが組技や寝技に持ち込むこと、持ち込ませないことにアドバンテージがあるのに対し、ブラジリアン柔術(以下柔術)は寝た後や寝かされた後にアドバンテージを握る事に特化している格闘技である。

 

柔術で最も特徴的なのは、下からの攻めやリバーサルなど、不利なポジションをひっくり返したり、関節技をかけたりする事が出来る点だ。

レスリングの攻防でレスラーに負けても、下からの関節技で勝ってしまえばいいし、リバーサルで上と下のポジションをひっくり返してもいい。

この不利な状況でも逆転勝ちを狙える技術があるのが柔術の強みだろう。

 

レスラーが寝技に持ち込んでも、相手を押さえつけながら打撃でダメージを与え続けて勝つしかないのに対し、柔術ができれば関節技を使って一瞬で勝つ事が出来る。もちろん、レスラーの様に押さえつけて打撃で勝つこともできるので、関節技の分だけ勝ち筋が増えていることになる。

レスリングが組技や寝技に行くための手段であるならば柔術は試合に勝つため、負けないための手段である。

 

極端な話、相手のタックルを防がなくてもタックルに来た相手の首をギロチンチョークで極めてしまえば、テイクダウンの攻防で無駄に体力を消耗する必要はないし、仮に極まらなくても下から足関節を狙えば不利なポジションから脱出しやくすくなるため、MMAで最も体力が消耗するテイクダウンの攻防を無視できる

 

また、柔術の試合は基本的に立技から始まるので、当然タックルや投げなどの攻防もあるから組技の耐性や自らテイクダウンに行く手段も自然と身につく。

 

欠点としては、道着を着て練習や試合をする事が多いため、MMAで使える技が制限される事にある。

しかし、ノーギ(道着なし)のルールや練習もあるので全く耐性が無いわけではない。

 

また、柔術MMAの起源であるUFCを興したグレイシー一族から生まれているため、基本的な考え方や技術がそもそもMMAに適しているものも多い。

柔術をバックボーンに持つ選手がとても多いのはこれに起因しているだろう。

ブラジルの選手は大体柔術をしており、基本的にムエタイや空手の打撃でスタンドを戦い、寝技になれば柔術で一本勝ちを狙うスタイルが確立している。

 

③ サンボ

ロシア発祥の格闘技で、柔道とレスリングと柔術を混ぜ合わせたような格闘技だ。

 

上は道着を着て、下はレスリングパンツで行う。

柔道と違いタックルや足を掴む行為はOKだし、全てではないが足関節もOKだ。この幅広いルールと制約の緩い組技・寝技が許されるのが特徴といって良いだろう。

 

サンボをバックボーンに持つ人は、身体が強く、レスリングではあまり見られない足をかける技術と関節技が強い人が多い。柔術と違い、投げやタックルの攻防もあるためその展開になっても戦えるのが強みだ。

 

先の2つの格闘技のいい所取りをして、少し浅くしたのがサンボと言えるだろう。

 

④ 柔道

日本で組技や寝技系格闘技といえば、真っ先に名前が上がるのが柔道だろう。

足掛けや投げ技ならば先の二つすら到底及ばない、組技のエキスパートだ。

 

特にクリンチになってからの足掛けの技術は驚異的で、足をかけることがあまりないレスリングの選手すら簡単に転がしてしまうことがある。

またタックルこそ無いが、遠い間合いから打撃を出しながら足掛けして転がす技術はMMAでも時折見かける事があるように、組んで無い状態からでも相手を転がす事ができるのも長所の一つだ。

 

また、投げた後の押さえ込みや関節技もあるため、レスリングと違い寝技になった後でもフィニッシュに持っていける力があるのも特徴である。

 

しかし、柔術と違い下からの仕掛けや、レスリングの用にMMAに近い服装では無いため、使える技術がかなり制限されるため、今のMMAでは柔道をバックボーンに持ってますという選手はかなり減ってしまった。必殺技がある選手は強いのだが、ただ投げて転がして、しかできない選手はMMAの特性上活躍しにくいのが現状である。

 

番外編 ムエタイ

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ムエタイを組技に入れるのはかなり迷ったが、首相撲というMMAで外すことのできない分野でアドバンテージがあるので、入れることにした。

 

知っている人も多いと思うが、ムエタイといえば立技世界最強と言われる打撃系格闘技である。

ブロックした腕を壊す事を狙うミドルキック、1発で試合の流れを変えるローキック、至近距離では流血させる肘打ちとカウンターの膝蹴り、まさに打撃系格闘技の極地と言っていい。

 

そんなムエタイだが、実は組技の展開もある。それが首相撲だ。

相手の脇や首を制しながら膝蹴りや肘打ちを打ち込み隙があれば足をかけて転がす。

 

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この首相撲の技術はMMAでもよく見られるもので、相手の脇や腕、首をコントロールしながら打撃をするというのはもはやMMAにおけるクリンチの攻防の基本と言っていい。首相撲が出来なければ組めないし、タックルに行くか最初から投げを狙うかしかない。

しかし、首相撲が出来れば相手の投げやタックルを首や腕をコントロールしてるので防ぎつつ打撃を混ぜれる。打撃を打てる分だけ、こちらの投げに対する相手の警戒を緩める事ができるのでテイクダウンも成功しやすい。

MMAでもトップの選手はムエタイはしてなくても打撃を含めた首相撲の攻防は最低限できる。

 

ムエタイは打撃だけでなく、クリンチの攻防にもアドバンテージを取る事ができる格闘技なのだ。

 

 

● まとめ

冒頭でも言ったように、打撃か組技か寝技かを選ぶ事ができるのは、組技や寝技系格闘技だと筆者は思っている。

 

じゃあ、どの格闘技が1番MMAで力を発揮するのか?

それはこの記事に書いてある順番通りと思っている。

やはりMMAのトップに行く選手はレスリングがかなり多く、次いで柔術が多い。それは競技人口の問題もあると思うが、そもそもその格闘技の秀でている分野がMMAに転用しやすいのだ。

 

レスリング>柔術>サンボ>柔道

この順番と筆者は思っている。

 

全ての格闘技には長所があって、それを上手くMMA仕様にアレンジし、使っていか事が重要で、例えばカポエラUFCで使われる場合もあるし、MMAで使えない格闘技は一つもない。

 

その中でも組技や寝技系格闘技は有利に働き、打撃か寝技かの選択権を握れるレスリング、寝技で上からでも下からでもフィニッシュできる柔術、広く浅い技術で対応範囲の広いサンボ、投げや足掛けでクリンチを優位に運べる柔道。

自分のバックボーンを上手く活かせばどんな格闘技でも活躍出来るはずだ。