spriteの考察日誌 ONE PIECE考察

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青龍と龍の違和感

ONE PIECEの世界には様々な生物がいるが、今のところベガパンクが作った龍と悪魔の実以外で龍が出てきた描写はない。

そこで龍について考えていきたい。

 

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(絵は妻による描き起こし)

 

① 龍とは

日本や中国的な龍と言えば、ドラゴンボール神龍のように細長く鱗に覆われ空を飛び、髭があって四つの小さな手足に鉤爪があって翼がない。蛇に似たフォルムだ。西洋的な龍は、胴体と長い首に角が生えて手足とは別に背中に翼があるフォルムとなっている。ここでは、この東洋的な龍について考えていこう。

 

② 現実世界の龍

我々の住む世界での龍とは、伝説上の生き物であると同時に、神としても崇められている。何の神かと言うと主に水神様として崇められる事が多い。

日本では、滝に行くと龍の像があったり、ここには昔龍がいたとか、そういった伝説が多い。なぜ、水場で龍が出てくるかというと、龍は蛇をモチーフにしているからだ。

蛇は基本的に水場にいることが多く、カエルなどの小型の両生類や爬虫類を捕食対象にしているため、蛇は水場に生息している。

そのため、昔の人は蛇を見かけると近くに水源があると思い、水源確保の標としていたのだ。そこから水の信仰という形で蛇が神格化したものが龍となったのである。実際、滝や渓谷などでは、龍の伝説ではなく、蛇の伝説も非常に多い。ここの滝には大蛇がいたなど、水場での伝説の中に生き物がいれば大体龍か蛇と言ってもいい。このように蛇、ひいては龍とは滝や水源、雨、雨乞いなどと結びついているのだ。

東洋系の龍が西洋の様なドラゴン的な形でなく、蛇と酷似しているのはそういった背景があるからと言える。

 

③ カイドウの龍

ここでおかしいのは、カイドウの龍は水の要素がほとんど無い事だ。

ボロブレスなり、雷なり、かまいたちなり、水系の攻撃がないばかりか炎を吐いたり、雷を出したりする姿はどちらかと言うと西洋的なドラゴンを連想させる

龍として初登場したシーンは、ゴロゴロと雷雲と共に現れたが、嵐が来たり大雨が降ったりと言ったことはなかった。

むしろ最終決戦でミンク族がスーロン化できたことを考えると、天気は良くなっていたので現実世界での龍と真逆の性質を持っているように見える。

龍的な要素と言えばせいぜい焔雲を出す所くらいか。恐らく初登場シーンでゴロゴロ雷雲のようなものが描かれていたのはこの焔雲なのだろう。しかし、これも名前に焔とついているのが違和感である。龍的な要素を取り入れているならそのまま雷雲や入道雲、龍雲と呼べばいいはずなのに、水と対極にある炎を表す焔とついている。この事からONE PIECE世界のウオウオの実・幻獣種モデル青龍は、魚や青龍と言っておきながら作中では全く現実世界での龍的な要素が共通していないと言える。せいぜい見た目と雲を生み出すことくらいか。

 

④ 本当に青龍なのか

ここまで龍がかけ離れていると、もはや龍という見た目と強さだけオマージュしたとしか考えられない。わざわざ龍を水から避けたのは意図してなのか、物語の都合上なのか分からないが、不一致というより、龍という名前が共通しているだけで、別の存在として描きたかったのだろうか。

それとも実は覚醒していなくて、覚醒すると水に関する力も手に入れる事ができるのだろうか。炎を吐くまではイメージできるが、炎を纏ってマグマのドラゴンのようになるのはもはや青龍らしさはない。というより、あの炎を纏うのがウオウオの実の最終奥義なら、むしろ青龍という名前の方が間違ってるのではないか?とさえ思えてくる。

もし、ゴムゴムの実のように本当の名前が別にあるなら、筆者的にはヤミヤミの実や他の悪魔の実よりも、このウオウオの実・幻獣種モデル青龍が最も可能性が高いとさえ感じてしまう。

カイドウ最後の大技を見た時に筆者は、「どんどん青龍離れしてきたな、というか本当に青龍か?そういえば前から青龍らしさないよな」と思ったくらいだ。しかも名前に「火龍大拒」と、ご丁寧に火龍という字まで使っている。もはや、青龍なんていう名前が間違ってると考える方が自然だろう。

 

あの名前をつけた者は、青龍の違和感を覚えなかったのだろうか?ONE PIECE世界の青龍とは、水ではなく火を司っているのだろうか?

しかし、これまでの幻獣種を見ると、不死鳥マルコの再生能力、九尾の狐の変身能力など、むしろ現実世界での伝説設定をきちんと踏襲しているだけに違和感が募る。他の幻獣種を伝説設定を規定していながら青龍だけ作者オリジナルの要素を入れるだろうか。他に理由があるのかもしれない。

ONE PIECEは神話オマージュが非常に多く、ニカが作者オリジナルの神らしいので、その辺と何か絡む理由があったのかもしれない。

 

⑤ まとめ

ここまで筆者の所感を述べてきた。

まとめると

① 現実世界での龍は水神であり、水や雨を司る

② 龍のモチーフは蛇であり、蛇は水場に多く生息する事から水の象徴として神格化されたものが龍となる。

③ カイドウの青龍は水の要素が全くない。反対の炎の要素を強く持っている。

④ あまりにもかけ離れている事からウオウオの実・幻獣種モデル青龍という名前が間違っている気がしてくる。

 

このような所感を持っている。最初にカイドウがボロブレスを吐いた時に、「え?龍なのに火を吐くの?」と驚いたのを今でも覚えている。あの時からの違和感は消える事なく、最終奥義の火龍大拒で確信的に違和感が強まった。もはや、龍という名前をつけない方がいいくらい別物である。

これだけ現実世界の幻獣種の設定を無視しているのは何か理由があるように思える。それが何なのかは筆者では分からないが、神話方面に強い考察者の方なら何か導き出せるかもしれない。ここから先の考察は、神話系考察者の方にお任せしたい。