① 呪術全盛
千年前、宿儺が生きた時代は今より呪詛師も呪霊も凶悪であり、術師も当たり前のように反転術式や領域展開を身につけており、呪術のスケールが段違いである。
では今はどうだろうか?
筆者は今こそが呪術全盛だと思っている。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
② 呪術全盛の周期
およそ500年から400年の周期で呪術全盛を迎えていると考えている。
千年前は言わずもがな、400年前の石流や鹿紫雲、恐らく三代や大道が生きた時代も平均レベルが高い。特に石流や鹿紫雲などは、一級術師の中でもまともに戦える人間は少ないだろう。つまり、この時代も呪術全盛であると言える。
③ 天元
そもそも日本にしか呪霊や呪術師が生まれないのは天元の結界によるところが大きい。
一応、天元は呪霊の発生を抑えるための浄界を使っているが、一方で天元の結界のせいで日本人にしか呪術師は生まれないと捉えられる発言がある。
可能性として
などが考えられる。
そもそも、天元が結界を貼らなければ呪力は自然と世界に流れ希薄になる事で呪霊が湧きにくかったのではないか?要は結界という水槽を作ってしまっている状態なのだ。
もしくは、元々日本がそういう場所だった可能性も高いだろう。そう考えると呪霊の発生を抑制するために天元が浄界を作ったのも筋が通る。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
天元と六眼と星漿体は因果で結ばれているがこれも無関係とは思えない。羂索が2度六眼術師に敗れている事を考えれば、六眼は天元の同化を達成するための護衛のような存在といえる。
だとしたら何人もの他者を巻き込む天元とは一体何者なんだろうか?
④ 天元と呪術全盛
天元は過去に2度同化している。という事は最低でも1500歳という事になる。
1000年前に1度目の同化を果たし、500年前に2度目の同化を果たし、12年前に3度目の同化のタイミングがあった。
1000年前と言えば呪術全盛平安の世だし、500年前は五条家と禪院家当主の御前試合があった時とほぼ一緒。
天元の同化の際に六眼が現れる事を考えれば、慶長(1596年から1615年)に天元は同化をしたのだろう。ちょうど鹿紫雲が言ってた400年前と言う言葉とも合致する。
(実際は500年から400年前の間に六眼術師が現れ、羂索を倒し、御前試合で死んだ事になるが、この記事では便宜上400年前と表記する。)
千年前は言わずもがな、鹿紫雲や石流、六眼と無下限呪術の当主に十種影法術など、この時代も呪術の平均値が高い。
そして現代、五条悟、乙骨憂太、夏油傑、虎杖悠仁、秤、東堂、禪院甚爾、漏瑚、真人、花御、陀艮など、現代もかなり平均値が高い。少なくても400年前の術師を倒せる実力を有している者はいる。この現代が400年前以下とは思えないのだ。
⑤ 同化と呪術全盛
なぜ、同化が近づくと呪術の平均値が上がるのだろうか?
やはり六眼の影響だろう。
五条が生まれた事で世界のバランスが変わったように、六眼というのはそれだけで呪術界の在り方を変えてしまう力があるのだ。
陸上などが良い例だが、誰か1人でも100mを9秒で走ったら、続々と9秒を更新する者が出てくるように、突出した人物が現れるとそれが現実的な目標となり平均値が上がるのだ。
⑥ 宿儺の存在
過去に天元が同化したタイミングは分かってないが、400年前や現代が六眼のせいで呪術全盛を迎えているなら千年前の宿儺がいた時代も同様のはず。
なら当然、宿儺も六眼持ちとは戦ったはずだ。
しかし、宿儺にはそれらしいリアクションがない。
五条が生まれたように宿儺が爆誕する理由があったはずだ。それはなんなのか?
ひょっとすると宿儺は元星漿体なのではないか?
九十九のように宿儺はハッキリと魂を知覚している。しかも真人のように直接触れる事なく。何なら会話までしている。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
魂を観測できる甚爾や真希、真人は見る事はできても会話まではできない。
もし、これが強くなった結果としてではなく、生まれつきの特性だとしたら?
それは星漿体と同じなのではないだろうか?
⑦ 呪術全盛のタイミング
呪術全盛は六眼が生まれるタイミングで訪れており、それは天元の同化のタイミングと言える。
天元が因果で六眼や星漿体と繋がっている事と無関係ではあるまい。
そして天元の結界により、日本は呪霊が発生しやすくなっている。それを抑える浄界を天元は構築しているが、そもそも結界により日本が覆われている事を考えると、天元の結界により負の感情が流出しにくくなっており、呪霊が発生しやすくなっていると考えていい。
何故、そんな事をしたのか分からないが、もし天元が自身の不死性と引き換えに因果を成立させるような縛りを結んだなら?
というか、日本全土に及ぶ結界術の構築などどうやって成立させているのか?
この問題と因果が無関係とは思えない。
⑧ 諸悪の根源
天元という存在が天与呪縛だとは考えられないだろうか?
結界術の達人という事は分かるが、領域を始めとして結界を構築している者の呪力がなくなれば結界も消える。
という事は結界を維持するのに呪力を消費している事になる。日本全土に結界を張り、幾つもの浄界を張って維持している天元の呪力はどこからくるのだろうか?
- 日本国民の呪力を吸い上げている
- 天与呪縛で呪力総量が桁違い
- 因果によって結界がなりたっている
天元は呪霊発生を抑制するために結界を張っていた。という事は日本国民の呪力を結界維持の為に吸い上げれば呪霊の発生も抑制できないだろうか?
無論、1人あたりの呪力を全て吸い上げる事はできなくても10分の1でも吸い上げれば抑制の効果は期待できるだろう。
むしろ、浄界という結界に呪霊を消す効果があるというより、浄界の維持に浄界内にいる人間の呪力を利用すると考えた方がスマートだ。
天与呪縛という線もある。
実際、術式範囲が日本全土に及ぶメカ丸というモデルケースがいるので、呪縛による呪力総量と呪力操作範囲が日本全土にあってもおかしくないだろう。
問題は何を対価にしているのか分からないことだ。1000年前の天元の姿が最新23巻に載せられたが、メカ丸のような四肢の欠損があるわけでもなかった。呪縛により何かを奪われた形跡がないのでこの可能性は低いか。
むしろ、あの不死という術式が天与呪縛の可能性もあるのだろうか?
永遠の命が与えられた代わりに、永遠にこの世界の守護者として生きろ、というような呪縛が成立するのかもしれない。
これら以外となると、因果で成立していると考えるしかない。
⑨ 因果
因果の整理
- 天元と星漿体と六眼が因果で繋がっている
- 甚爾は呪縛の力により因果の外に出た
- 同化のタイミングで六眼と星漿体は現れる
- このタイミングが呪術全盛となる
この事と作中の描写から
という事が分かる。
因果と言っても天元の同化のタイミングで星漿体や六眼が現れるのだから天元を軸として成り立っているはず。
天元は、「呪縛の力で因果の外に出た甚爾が運命を壊した」と言っていた。この事から甚爾、禪院家も因果に含まれていると考えていい。
もし因果に含まれてないなら、「因果の外に出た人間」なんていう言い方をしないからだ。
九十九は「子供たちに業を背負わせ」と言っている。これが天元の子孫が星漿体であり、その事を指している可能性もあるが、星漿体の役目を放棄した九十九を「大聖と呼べ」と言っている事から、因果の外に出る事が救いとなる可能性を示唆している。
何なら、星漿体だけでなく、人類全体を指して「子供たちに業を背負わせ」と言っている可能性もあるのだ。むしろそう考えなければ禪院家の甚爾が因果に含まれていることの説明がつかない。
禪院家の成り立ちは五条家のように元々六眼があるとか、加茂家のように元々陰陽師の家系だったとかではなく、強力な術式を宿した者と結婚して禪院家にする事で、複数の相伝の術式を獲得し、力を背景に御三家に登り詰めた家系である。
つまり、最初から天元の因果の中に何らかの役割を持って因果に結ばれていた可能性は高くないのだ。
そして星漿体を放棄し、呪霊のいない世界を作ろうとしている九十九を「大聖と呼べ」という事は、九十九の研究は天元が選ばなかった方法で世界を救う。すなわち呪霊のいない世界を作るに繋がるのではないだろうか?
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
一旦整理すると
- 因果の中心は天元
- 因果は星漿体と六眼と天元が結ばれている
- それとは別に人類全体が含まれている因果が存在する
- 因果の外に出るには呪力が0になる必要がある
- 星漿体の役目を放棄し、呪霊のいない世界を目指している九十九は天元が選ばなかった方法で世界を救おうとしている可能性がある
- 天元は呪霊のいない世界を結界と因果によって成立させようとした
この事から分かるのは、因果は2つ存在しており、1つは天元と六眼と星漿体を結ぶ因果であり、それとは別に全人類が含まれて因果があると言う事である。
その因果から脱却したのが甚爾であるなら、その因果とは呪力である事が分かる。
⑩ 天元の正体
天元は少なくても奈良時代から活動しており、呪術師に対する道徳基盤を説いた事を発端として盤星教が生まれたと説明があった。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
史実でも奈良時代に仏教を民間に布教し、灌漑事業を行なう事で人々の生活を支えた人物が存在する。行基だ。
- 奈良時代
- 仏教
- 布教活動
などが共通している。性別こそ違うもののモチーフの1つではあるだろう。
呪術廻戦は仏教要素が強い。領域展開の掌印も仏教由来、伏魔御厨子のシンボルも仏教要素が強い。羂索のガネーシャ呪霊も仏教発祥の地インドのもの。
これだけ仏教要素の強い作品で、天元や羂索という仏教由来の名前を持つキャラが、仏教と無関係などありえるだろうか?
むしろ仏教を使って呪術を洗練したと考える方が自然だろう。
ドゥルゥブ・ラクダワラがいた事から、天元以前から日本は術師が多くいた可能性もあるが、天元の結界と因果により日本にだけ多くの術師がいるのは間違いない。
なぜ、六眼が五条家だけの特異体質で天元と因果で結びついているのか?
天元のように永遠に生きられない道真は、何らかの縛りを結ぶ事で天元の護衛になる六眼が生まれる因果に組み込まれた。
因果に囚われてるなら自身がいつか輪廻転生するかもしれない。即ち数百年周期で天元と菅原道真は再び出会えるのだ。もちろん道真の記憶などはないだろうが、それでも良しとすれば五条家だけに発現するのも理解できる。
何故なら天元と六眼は因果で結ばれているので、天元の誕生以前、あるいは天元とは無関係に五条家が元々六眼を発現する家系とは考えにくいからだ。
元々五条家にそんな特性があったなら、何故天元と後天的に因果で結ばれるのか分からない。それなら、天元が五条家の誰かと巻き込む形で因果を作ったと考えた方がまだ腑に落ちるのだ。
もしこの仮説が正しいなら、無下限呪術という最強術式があるだけで選ぶだろうか?
タメを張る十種影法術もあるのだから禪院家でも良かったはずだ。従って術式以外で五条家と因果を結んだと考えるしかない。それは恋心だと思う。
道真は平安時代、天元は奈良時代と時代の隔たりはあるものの、そこさえ解決すれば筋が通る。
星漿体は天元と共に存在しいたが、護衛は必要なかった。むしろ同化をしやすくするために、天元は仏教と共に教えを広めていたと考えられる。
しかし、そこに羂索という敵が現れた。自分と同じく実質不老不死の人間。護衛が必要となり恋仲で無下限呪術を持っていた菅原道真と因果を結び、同化のタイミングで六眼が生まれるようになったのではないだろうか。
⑩ 羂索
彼も仏教キャラだ。
名前はそのまま不空羂索観音から取られているし無関係ではないだろう。
むしろ、仏教僧になった事で羂索と名乗っていると考えた方が自然ではないだろうか?
羂索もまた、行基である天元と共に仏教を広めるように術師に対する道徳基盤を解いたのだろう。
天元は不死の術式を持っており、進化したら暴走の危険がある。しかし、これは天元本人と高専関係者しか語っていない。
ここに嘘があるのではないか?
もちろん進化を果たした天元が天地に自我が広がり、1人でも悪意を持てば全て繋がっているのでまた悪意の伝搬は一瞬となる。これは理解できる。
しかし、同時に天元が進化をする事で呪霊が生まれにくくなるなら?
それなら羂索が天元を「退屈な人生」や「理想に向けて一歩踏み出す、それを知らずに死んでいく人間を軽蔑するよ、貴様に言っているんだぞ、天元」と言っていたのも、九十九が「子供達に業を背負わせ利用してきた歴史」「私のことは大聖とでも呼んで崇めろ」という発言も筋は通る。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
つまり、天元は進化する事で呪霊の発生を抑制するきっかけになるのではないだろうか?
もしくは呪力の最適化を実現できる。
それをしないから羂索は「旧態依然な作戦だ」「退屈な人生」と言ったり、九十九も「大聖とでも呼んで崇めろ」と言っているのではないか?
羂索と九十九は思考が似ている。
2人とも同じ思考と仮定した場合、2人とも天元を軽蔑している事のは、今の天元がしている事が人類にとってマイナスだと知っているからではないだろうか。
九十九が「大聖とでも呼べ」という事は九十九の目指す呪霊のいない世界が天元の進化により達成できるのだろう。だから星漿体としての役目を放棄し、世界を放浪して呪力からの脱却を目指しているのだ。
九十九から言わせると「天元、お前は進化して色んな術師達と力を合わせればこの世から呪霊を無くせたのに、勝手にこれから先、生まれてくる子供達に同化や六眼による護衛など、因果に巻き込んでおきながら今更同化に失敗しても大丈夫なんてどの口が言っているんだ?
それなら呪霊のいない世界を目指す為に無謀な事に挑戦している私のことは大聖とでも呼んで崇めろ」
こういう事になるだろう。
⑪ 星と天元
天元は星が強調されている。
盤星教や星漿体など、明らかに星要素が多い。単純に天元が全ての人類の始祖という設定があるのかもしれないが、この作品の設定がそこまで飛躍しているとは思えない。
そのため、星=呪力の源と考えたらどうだろうか?
星、つまり天元がいるからこそ呪力が必要以上に溢れ、呪霊や術師が生まれる。だから全ての源という意味で星が強調されてるのではないだろうか。
天元が天元の考え方と価値観で今の呪術大国日本と術師や呪霊の在り方を決めてしまった。
そこから脱却しようとしているのが、
- 九十九
- 羂索
である。
そして脱却できたのが甚爾である。
九十九は呪力からの脱却を目指していた。
つまり、呪力からの脱却が因果から抜け出す方法であり、それを実現出来れば天元の浄界など不必要となる。
そして天元はその模索を諦めた。恐らく自身の犠牲が伴うものであり、尚且つ確定的に全人類を呪力から脱却できるかは分からなかったからだ。
これまでの天元の周りの人間の発言を見ると、天元は冒険や賭けに出るタイプの人間ではない。かかっているのが全人類とこれから先の未来全てなら尚更模索などしないだろう。
つまり、天元的には今の日本にだけ呪力を集中させ、浄界で呪霊の発生を抑制し、それでも生まれた呪霊は呪術師に祓わせる。
それを実現する術式が自分にはあった。しかし、肉体が進化するので新たな肉体として星漿体と護衛として六眼を必要とした。そこで最強術式、無下限呪術を持った恋人菅原道真と因果を結び、六眼は五条家だけに遺伝するようになり、数百年周期で道真の生まれ変わりが六眼持ちとして同化のタイミングに現れるようになった。その同化のタイミング=道真の復活でもあるので呪術全盛が訪れる。
このように筆者は考察している。