初めに、この記事は表題の説を否定するものではない。ただ、疑問がいくつか浮かび上がるので、それを証明できればより強い考察となるので記事を書こうと思ったのだ。
巷ではバギーやシャンクスの親がロックスや天竜人なのではないかという考察がある。
特にバギーの親がロックス説が濃厚になってきているので、ここで考察してみよう。
(絵は妻による描き起こし)
① 親ロックス説
バギーやシャンクスは親が判明していないばかりか、本名すら定かではない。そして共に年齢は39歳。ゴッドバレー事件が起きたのが38年前。つまりゴッドバレー事件当時、バギーやシャンクスは1歳だったと考えられるし、ゴッドバレーにはロックスや天竜人、そしてロジャーが揃っていた。そしておでんと共に乗船したモモの助や日和を抱き抱えながらロジャーやレイリーは「赤ん坊なんて久しぶりだな」「昔を思い出すな」と喋っていた。この事から以下のことが考えられる。
38年前にゴッドバレーでロックスと天竜人とロジャーが揃い、戦いが起きた。当時すでに1歳だったバギーやシャンクスは確実にこの世に産まれているし、ゴッドバレーにも居たと仮定する。ロックス壊滅後、身寄りのないバギーやシャンクスをロジャー達が引き取り育てた。つまり、赤ん坊を育てた経験がある。そのため、おでんの子供のモモの助や日和を抱っこした時に「懐かしい」、「昔を思い出す」という言葉が出た。
さらに1053話でバギーとシャンクスが揃って四皇であり、実力的には四皇の器ではないバギーが四皇になっているのは、七武海になった時と同様に自身の経歴が伝説級という事がバレたから四皇になったと考えられる。
バギーが四皇になった事でシャンクスの親がロックスというよりも、バギーの親がロックスという線が濃厚になっているのだ。
シャンクスは天竜人の子供と考えればゴッドバレーにいたことも説明がつくし、五老星と謁見できる事とも整合性が取れる。
ロックスがバギーの親説はこのようなストーリーになっている。
② ロックス親説の根拠と仮定
この説の根拠と仮定は以下の通りである。
① 38年前のゴッドバレーにロックスと天竜人とロジャーが揃っていた。
② バギーとシャンクスの年齢が現在39歳。
③ ゴッドバレー事件当時にバギーとシャンクスは確実に1歳児としてこの世に存在している。
④ ロジャーは日和を抱っこしながら「赤ん坊なんて久しぶりだな」と語っていた。
⑤ 赤ん坊=1歳児のバギーとシャンクスという認識
⑥ バギーとシャンクスがゴッドバレーにいた事を前提としている。
この説は①〜④の根拠と⑤と⑥の仮定を含めた6つを軸として成り立っている。
筆者も納得しているし、バギーまたはシャンクスの親がロックスの可能性は高いと思っている。しかし、筆者はある２つのポイントからこの説が破綻、またはハズレると思うのだ。
③ ロックス親説の否定的根拠
この説の否定的根拠は以下の２つだ。
① 「赤ん坊なんて久しぶりだな」「昔を思い出すな」発言
② 1歳児は赤ん坊ではない
この２つだ。順に見ていこう。
①の発言に関してこれから話すことは筆者の妄想にすぎないので話半分に読んでいただきたい。
①の発言をしたシーンは恐らくおでんが初めて乗船したシーンだと思われる。バギーやシャンクスの性格上、ワノ国の侍の乗船時にその場に居ない事は考えられない。年齢的にも好奇心が最も旺盛な時期であり、海賊なので刺激的な事に自ら進んでいくだろう。作中でも2人の子供時代は子供らしく描かれているので、筆者の想像ではおでんの乗船時には必ず2人も立ち会ったはずだ。ここに立ち会わず雑用をするというのは考えられない。雑用を押し付けられても放り投げて立ち合いに来る事が容易に想像できる。
さて、おでんがモモの助、日和と共に乗船した際に、2人が立ち会った可能性が高いと仮定しよう。
もしそうならば、「赤ん坊なんて久しぶりだな」とは言わず、「こいつらも昔はこんな感じだったな」とか「お前らも昔はこんな感じだったんだぞ」とか「小さい頃のこいつらを思い出すな」とかで良いと思うのだ。わざわざ「赤ん坊なんて久しぶりだな」など発言しなくていい。
わざわざこのような抽象的な表現をしたのには理由があるはずだ。
① 親がロックスというサプライズを極力隠したい
② 万が一設定に手を加える際に確定的な発言をしてしまうと変更が効かなくなるので、抽象的な表現にする事で設定の変更をするための"遊び"を作ってある。
このように筆者は考えている。
これが否定的根拠の１つ目だ。
つまり、ロジャーとレイリーがあの発言をしたシーンで、バギーやシャンクスが立ち会わないことは考えられず、立ち会ったなら、「赤ん坊なんて久しぶりだな」とは言わず、「コイツらもこんな時期があったな」「え？俺らは赤ん坊の頃からこの船に乗ってたのか？」このようなやり取りがあっても不自然さない。
さらに、親がロックスであり、ロジャー達が懐かしんでいる赤ん坊がバギーなら本人の前で親がロックスであることを伏せて懐かしめばいいのに、抽象的な表現にしているという事は、後々設定を変える可能性があると言う事だ。
このことから親がロックス説は正解だが、変更されてしまうのではないかと思っている。
もっと言うなら、赤ん坊の頃から可愛がっていたバギーとシャンクスがいる中で、「赤ん坊なんて久しぶりだな」「昔を思い出すな」という発言は、どこか他人を指しているように見えないだろうか？
バギー達を指しているなら、先ほどのやり取りがある方が自然だし、レイリーの「昔を思い出すな」とは当時、子供のバギー達よりも前の時代を思い出しているようにも見える。
つまり、上記のロジャー達が思い出している赤ん坊がバギー達という根拠は、当たっているがハズレにされる事とは別に、全く違う島で出会った赤ん坊の可能性も十分あるのだ。
これは赤ん坊がバギー達と明言されていないからではなく、この抽象的な言い回しを逆算すると、その可能性の方が高いように見えて来るのだ。
②は子供がいる方なら分かると思うが、つかまり立ちをして、つかまり歩きを始めて、リズムのある単語を喋り始める1歳児は、赤ん坊という認識ではない。むしろ幼児と言った方がいい。
実際に調べてみると、生後0日目から28日目までの乳児を新生児で、また1歳未満の子を乳児といい、満1歳から小学校に修学するまでは幼児と定義され、赤ちゃんと言われるのは、新生児と1歳未満の乳児である。
事実、筆者には1歳半になる娘がいるが、8ヶ月頃には立ち始めて歩き始めた時に、「もう赤ちゃんとは言えないな、"子供"になったな」と妻と話したのを覚えている。
筆者の家族もその認識であり、Hug Kumというウェブサイトではご丁寧にママとパパの認識アンケートというのまで記載されている。ばらつきはあるが、それをみると一般認識として、1歳未満であっても立ち歩きを始めると赤ちゃんではなく、幼児という認識だそうだ。筆者も赤ちゃんといえば、せいぜいずり這いをして離乳食が始まるくらいまでで、立ち歩きを始めると赤ちゃんとは思えない。
もしONE PIECE世界でも同じ認識なら、ゴッドバレー事件当時1歳であるバギーやシャンクスは赤ん坊ではないと言うことになる。
さらに、「赤ん坊なんて久しぶりだな」という発言は、乗船している者を対象とした言い回しに感じない。むしろ、どこかの島でいっとき保護したり守ったりした、かつてどこかで関わりのあった他所の赤ん坊を思い出しているような印象を受ける。
④ まとめ
このように、ロックスが親という説には微妙に屁理屈のように見えるかもしれないが疑問があるのだ
同時に、ロックスや天竜人が親でないならゴッドバレー事件を38年前に設定し、バギー達の年齢を39歳にした意味がないので、ロックス親説は濃厚である。
しかし、1歳児を赤ん坊とは言えないし、わざわざあんな抽象的な表現を使う意味を考えると、元々、バギーまたはシャンクスの親をロックスや天竜人として設定していた。しかし、物語を描くうちに様々なキャラクターとの整合性を取る上で、確定的に表現してしまうと後々辻褄が合わなくなる可能性があるので、後から設定を変更できるようにあえてロジャー達にあのような発言をさせて、事件と年齢をあの数字に設定した。筆者はそのように考えている。
また、レイリーの「昔を思い出すな」という発言が、バギー達の乗船よりも前の出来事に読める事から、そもそも別の赤ん坊を預かった経験があり、今後その人物が重要人物として描かれる可能性もありそうだ。むしろそっちの方が物語として綺麗かもしれない。
ロジャー達のあの発言は、バギー達ではない赤ん坊を指していたが、バギー達はバギー達で親がロックスだったり天竜人だったりする描写が出て来るかもしれない。あの発言を根拠しなくて済むし、1歳児の矛盾もロジャー達の他人っぽいバギー達以前の時代のような言い回しも解決する。
そもそもバギー達はゴッドバレーに何故いたのか？何故、幼児を赤ん坊と言ったのか？様々な疑問があり、先ほどの根拠と共に考えなければ答えに辿り着かないと思う。
ロックス親説は、事件と年齢、バギーが四皇になった理由、七武海とのリンクを考えて最もスッキリする設定なのだが、上記の否定的根拠を解決しないと心底信じる事ができないのだ。
この記事で言及した事を上手く解決し、説明できれば、より強い考察となると思う。
(絵は妻による描き起こし)
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