ネタバレ注意!
最新話の内容を含みます!
九十九の残した魂の研究記録について考察する。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
① 魂は肉体を作り、肉体には意志が宿る
真人が言うには「魂は肉体の先にある」らしい。つまりまず魂があり魂の形に基づいて肉体が形成されるそうだ。
真人の理屈だと魂の影響の方が肉体の影響より大きいようだ。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
一方で肉体はどうだろうか?
羂索が言うには、「肉体は魂であり、魂は肉体」らしい。
羂索の理屈では、魂は肉体にも影響を与えるが、肉体も魂に影響を与えていると言えそうだ。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
魂がなくなったら肉体に何も残らないのだろうか?
夜蛾学長によると肉体から魂の情報を複製できるそうだ。
つまり、「肉体にも魂は宿る」あるいは「魂の情報は肉体に刻まれる」と言うことになる。
これも羂索の言う「肉体は魂である」という理屈と合致する。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
肉体に刻まれた魂の情報はどんな影響を及ぼすのか?
肉体が特別であれば魂を塗り替える事が起きる。甚爾の肉体がそうだったように。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
つまりこの魂と肉体の関係性から分かることは
- 魂が肉体を形作る
- 肉体に魂の情報は刻まれる
- 魂と肉体の力関係によっては肉体が魂の情報を塗り替える事が起きる
- 肉体にも意志が宿る
と言える。
真人は魂が肉体を作ると言っており、実際彼の術式はそれが出来ているのでこの理屈は正しいはず。
肉体には何の力もないのか?それは否である。
何故なら五条の声に夏油の身体が反応したように、魂が消えても肉体自身に意志が宿っていることになる。
肉体には魂の情報が刻まれ、同時に意志も宿るのではないか?
だから夜蛾学長は肉体から魂の情報を複製する事で呪骸を作れるし、夏油の身体は反応するし、甚爾の肉体は孫の魂を塗り替えた。
② 体験は血統因子に記憶される
こんな実験をご存知だろうか?
体を切ると破片から新しい体を作り個体が増えるプラナリアを使った実験だ。
以下の写真を読んでほしい。
プラナリアは非常に高い再生能力を持ち、体を真っ二つにすると、2つに裂かれた体はそれぞれ独立した個体となり再生する。
プラナリアの頭の部分に光を当てると同時に電気を流す。そうすると反射で体が収縮する。この作業を繰り返すことで、プラナリアは電気を流さなくても光を見ただけで体を収縮させるようになる。いわゆるパブロフの犬である。
この光を見ただけで体を収縮させる事を覚えたプラナリアの体を頭と胴体で分かるように切断するとどうなるか?
頭の部分は胴体を再生し、胴体の部分は頭を再生する事で、元々の頭から生まれたプラナリアと、元々の胴体から生まれたプラナリアの2体生まれる。
頭の部分から再生したプラナリアに光を当てるとやはり体を収縮させる。当然と言えば当然。頭が残っているのだから。
では胴体の部分から再生した個体はどうだろうか?何とこちらも同じように体を収縮させる。
この実験から分かる事は記憶や体験は何も脳にだけ記憶されるとは限らないと言う事だ。
こんな話を聞いた事がないだろうか?
ある所に心臓病を患った人がいた。運良くドナーから心臓の提供があり移植手術は成功した。
すると、突然今まで好きでもなかったピーマンやチキンナゲットが大好物になってしまった。
調べると何とドナーの人の大好物がピーマンとチキンナゲットだった。(クレア・シルヴィアの事例)
このように遺伝子が肉体を形作るというセントラルドグマ的な考えでは説明できない事が往々にしてある。
体験や記憶などの外部が遺伝子や肉体に影響を与えるという考え方がエピジェネティクスだ。
呪術廻戦では肉体はエピジェネティクス的な要素があると言っていい。
つまり、本人が経験した事は例え脳が無くても心臓なのか、あるいは遺伝子そのものに刻まれるのか分からないが、肉体に記憶されるといえる。
- 体験や意志は脳や魂だけでなく肉体にも刻まれる
つまり、取り込まれた伏黒や魂を壊された釘崎の意志や体験、魂の情報も肉体に刻まれているのだ。
③ 芥見先生の嘘
公式ファンブックでの作者コメントによると「夏油の身体が反応したのは、切り落としたトンボの身体が動いたのと同じです。特に意志は残ってません」と語っていた。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
かなり辛辣な回答で夏油ファンは奈落の底に落とされた気分だろうが、実はこれは作者が意図的についた嘘である。これについては断言してもいい。作者は嘘をついている。
何故なら渋谷事変の最終局面で九十九が夏油の肉体に喋りかけていたからだ。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
ちょうど公式ファンブックが発売される前後だったのでファンブックではあのような回答にしたのだろう。
既に魂も自我も残ってない夏油の身体に問いかけたところで反応などあるわけない。作者が言うように夏油の意志が残ってないなら尚更である。
にも関わらず九十九は喋りかけている。これは魂も脳もないが夏油の肉体そのものに魂の情報だけでなく意志が残っているから問いかけたのだ。
九十九は星漿体である。天元が過去に取り込んだ星漿体の声が聞ける存在が九十九だ。つまり、彼女には魂だけでなく、肉体に宿った意志が聞こえるのだろう。
だから天元から声が増えない事が分かったり、過去に取り込まれた星漿体は何と言っているかも聞こえるのだ。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
夏油の肉体に話を戻すが、実際に羂索の意志に反して勝手に口が動いて喋り返す訳ではないだろう。
九十九が夏油の肉体に問いかける→夏油の意志が思念で応える。このような流れが本来起きたのだろう。しかし、夏油の意志が反応するよりも前に羂索が反応したので有耶無耶のままになっているのだ。
- 取り込まれた魂の声を聞ける、あるいは肉体に残った意志が聞こえるのが星漿体
- 肉体の意志が聞こえるからこそ乗っ取られた夏油に問いかけた
④ 肉体の可能性
肉体には魂の情報が刻まれ、例え魂が抜けても脳を取り替えられても、肉体には意志が宿る事が分かった。それを九十九が理解していることも。
と言うと事は九十九の魂の研究とは、これまでの真人のような魂から肉体への一方通行ではなく、肉体から魂へ干渉する方法が記録されているのではないだろうか?
- 肉体の意志を呼び覚ます
- 肉体を強化する
五条が問いかける事で夏油の肉体の意志が反応したように、何らかの繋がりが深い人物の問いかけにより肉体の意志は反応する。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
縛りなり、なんなりで肉体に宿る意志に語りかける事で覚醒を促せるかもしれない。肉体の意志が強ければ宿儺の魂に負けた伏黒の魂も立ち上がり、肉体の主導権を取り返せるかもしれない。
あるいは九十九のように星漿体なら肉体に残る意志と対話できるかもしれない。問題は因果で繋がっている天元が取り込まれた今、新たな星漿体が生まれるのかと言う所だが。
もし、九十九のように肉体の意志と対話できる人物がいるならその力によって肉体の覚醒を促せるかもしれない。
甚爾のように、肉体が魂より強ければ魂を塗り替える事ができるだろう。問題は甚爾のような肉体は本当に特別中の特別な事だ。
だが、もし何かを捨て去る事で呪力から脱却できるなら?そのような縛りを後天的に作れる方法を九十九は見つけたのかもしれない。
⑤ 釘崎と伏黒の復活
もし、夜蛾学長のように肉体から魂の情報を複製できるなら?
九十九のように肉体に宿る意志と会話できるなら?
死にたてホヤホヤで時が止まってる釘崎の体から魂の情報を複製する事で、真人に壊された魂すらも復元できるかもしれない。
あるいは魂が壊されても肉体に宿る意志を目覚めさせれば、肉体が魂を作り直す事が起きるかもしれない。
伏黒についても同様だ。肉体の主導権は魂の主導権を握っている方が獲得する。
現在は宿儺の魂に伏黒の魂は屈服しているから宿儺が肉体の主導権を得ている状態だ。
そこで甚爾のように肉体が宿儺の魂を上回れば、肉体が宿儺を乗っ取れるかもしれない。
2人とも魂を壊されて殺されたか、魂だけが沈んでいる状態である。自力で魂から復活する可能性が低い以上、あとは肉体に刻まれている魂の情報か肉体の意志の方から魂にアプローチするしかない。
つまり九十九の研究は
- 肉体の方から魂にアプローチする方法
- 魂を上回る肉体を作る方法
- 肉体に宿る意志と対話できる方法。
- 肉体から複製した魂の情報を使って魂を再生する方法
これらが考えられるだろう。
どちらにせよ伏黒や釘崎を復活させる事に関わってくるのだと思う。
伏黒はまだ魂があるが、釘崎は魂を壊されたので復活は相当厳しい。言ってしまえば釈魂刀で斬られた状態と同様と考えていい。
筆者は以前、宿儺の反転術式は魂の形に沿っているから心臓を治したり腕を生やしたりできると論じた事がある。
(引用:呪術廻戦/著者芥見下々)
更に一歩踏み込んで、肉体に魂の情報が刻まれているなら、魂が切り裂かれても肉体から魂の情報を読み取って魂すら復元できるのではないかと考察した。
それをできるようになる方法が記録されているのかもしれない。というかそれくらいできないと魂が壊された釘崎の復活は不可能だろう。
釘崎復活の可能性は
- 肉体から魂の情報を複製し、魂を再生させる
- 肉体を甚爾のように強化する事で、肉体の方から魂の形を再生させる
これくらいの離れ業ができなければならないだろう。
伏黒の復活は
- 魂を立ち上がらせる
- 甚爾のように肉体を強化する事で宿儺の魂を伏黒の魂に上書きする
- 肉体の意志に呼びかける事で伏黒の魂を覚醒させる
伏黒に関してもこれくらいの事でやっていかなければならないだろう。
どちらにせよ九十九の研究記録にはかなりぶっ飛んだ内容が記載されていると思う。その内容は伏黒や釘崎の復活、ひょっとすると虎杖を出生した方法と同じ内容が残されているかもしれない。